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ママ目線もプラス!「産科医が考えるお産の病院選び」

出産をする上で皆さんが悩むのがお産をする病院選び。今回は産科医の筆者の目線で、お産をする場所を選ぶ上で考えるポイントを挙げていきたいと思います。

まずは、考える基本ポイント〈ハード面〉からご紹介します。

自宅からの距離、妊婦健診のみか分娩も扱っているのか。

自宅からの距離は、有事の際にかなり重要なポイントです。(急な受診となった場合、病院に到着するまでの時間が重要になる事もあります)何があるのか分からないのが妊娠、出産です。

なるべく自宅から近い場所、アクセスが良い場所がいいですね。

また、クリニックや、小さい病院でのお産を希望される場合は他施設との連携を確認しておきましょう。

合併症がある場合や、慎重な管理が必要な場合は、産科以外との連携も必要なので、総合病院での分娩が必要でしょう。

さらに、早産の可能性がある場合は、生まれた赤ちゃんがNICUへの入院も必要なので、NICUを併設している必要があります。

ただし、このような医学的管理面は、地域連携を通して必要な場合は転院や搬送をします。ですので、特に問題ない段階ではご希望の場所で分娩を予定しているということで良いと思います。


続いては、重要なポイントでもある〈スタッフ面〉について考えたと思います。

○ 医師

筆者が医師だからか人柄も大事ですが、しっかりと医学的管理をしてくれるか・・を重要視してしまいます。

必要なことをきちんと分かりやすく伝えてくれること、必要な判断を必要なタイミングでしてくれること、が医師としての役割かと思います。(優しいに越したことはないですが、自分と子供の命を預けることになるので医師には医学的管理をきちんとすることを求めます)

また、医師の数はどれ位か、夜間や緊急時に対応する人数や年次も気になります

内部の情報なので、中々普通には情報は手に入らないかも知れないですが・・。

緊急時に、しっかり対応できるかどうかは予後に直結する場合があるので、医師としては重視してしまいます。(産科医不足が言われている地域では厳しい要求かもしれないので、あくまで筆者の目線です。分娩施設には医師が不足していても、搬送などでしっかり対応してくれると思います。産科医が少ない地域で分娩を希望される方は、地域の状況を調べておくといざという時に安心だと思います。)

○ 助産師・看護師

妊娠中の不安や心配事、分娩時の痛み、出産してからの母乳のこと、育児の心配事…たくさんの心配や不安に寄り添って対処してくれるのが助産師や看護師です。

通常の分娩では、助産師さんがメインで赤ちゃんを取り上げてくれます。筆者的には、妊娠・出産の安心感、満足度に大きく関わるのは助産師だと思っています。ちょっと厳しいけど的確にアドバイスをくれる方、優しく話を聞いてくれる方、明るく元気をもらえる方、様々な助産師がいますが、自分に合った方に会えるといいですね


最後に〈サービス面〉についてです。

 正直、筆者はあまり重要視していません…。ですが、マタニティライフに関わったり、満足度に関わったりするので、選べるのであれば考慮する点として挙げてみました。

硬膜外麻酔併用分娩

麻酔併用が可能かどうかでまず大きく分かれます。麻酔が可能で合っても、経産婦のみだったり、計画分娩が必要だったりする場合も多いです。ご自身の希望とマッチするかどうかを事前に確認しておくと良いでしょう。また、麻酔も自家麻酔か麻酔科医がかけてくれるのかという違いもあります。施設の規模にもよりますので、確認しておくと良いでしょう。

個室

筆者は全室個室の病院でした。赤ちゃんとの生活で、周囲の人に気遣いしなくて良い、というのは精神的には楽でした。(トイレ・シャワーも)ただ、長期入院が必要な妊婦さん同士で交流ができないというのは難点だと思います。

食事

産後授乳などでかなりエネルギーが必要になります。豪華でなくても、体に優しい食材やメニューだととても嬉しくなりました。分娩直後の時期に美味しい食事が出るとやはり有難いですね。母乳にいいメニューなどは、退院後の参考にもなりました。

新生児の写真、4Dエコーなど

筆者の施設では扱っていません。限りある期間の思い出作りとして、提供している施設もあります。様々なサービスがあるので調べてみても良いかもしれません。


 以上、産科医が考える産院選びでした。

分娩施設は地域性やそれぞれの施設の規模による要素が大きいのが現状です。複数の選択肢が持てる地域もあれば、限られた施設しかない地域もあるでしょう。

母児共に無事に出産を迎える、というのが一番重要ですので、まずはその点で考え、それ以上に選択肢があれば、希望に添えるような病院選びが出来ればと思います

人生に何度もない妊娠・出産という経験が、幸せなものになることを祈っています。